第34回
【日時】2005年7月10日
クロードエヴ ドュヴュック
(東京大学大学院総合文化研究科文化人類学博士課程)
【発表要旨】
This presentation is a resume of the research I made for my master's degree in the University of Montreal. It is an analysis of the linguistic changes noted in the language used by political women in Japan and of the part played by the variable of≪ power ≫ in these. My analysis uses a sample made of transcripts of meetings ofthe National Diet, in which Moriyama Mayumi and Doi Takako take part in the early 80’s, the same Doi Takako in 1989-90, and Tanaka Makiko, Noda Seiko, Obuchi Yuko and last Tsujimoto Kiyomi today, as well as the male politicians Shii Kazuo and Abe Shinzo.
This research has put in light the changes that have occurred in the language of political women between the early 80’s and today, considering that the nomination of Doi Takako at the head of her party in 1986 was a factor of change in the status of women in the political world. It also puts in light the gap between the languages used by men and women in politics today. Finally, I tried, through this research, to gain a better understanding of the influence of ≪ power ≫ in the relationship between language and gender.
Woman's Thong And Power ―The Evolution Of Japanese Political Women And Their Speach
ドメスティック・バイオレンスに関する伝統主義の語り
―アメリカ・インディアン・コミュニティにおけるネイティブ援助者の言説事例
桑島薫
(東京大学大学院総合文化研究科文化人類学博士課程)
【発表要旨】
夫や恋人からの暴力(ドメスティック・バイオレンス/以下、DV)は、多くの国々で社会問題となっており、政府及び民間レベルで様々な取り組みがなされている。白人を中心とするアメリカのドミナント社会や日本社会では、DVが語られる文脈において、「伝統」は家父長制と密着しているとされ、称揚されることはない。しかし、現在のアメリカ・インディアンのコミュニティでは、DVをめぐり、インディアンの「伝統」を称揚する言説がコミュニティ出身のネイティブ援助者らを中心に頻出している。
本研究はこの言説を「伝統主義的DV言説」と名づけ、いかなるメッセージが送出されているのか、なぜドミナント社会とは異なる語彙や枠組みでDVが語られるのかについて考察した。考察にあたり、ドミナント社会に対する対抗的対話、及びコミュニティ内部へDVの実践的解決法を提示する対内的対話という二つの対話の回路において「伝統主義的DV言説」を捉え、そのメッセージ及び言説としての有効性(説得性)を、資料、文献、聞き取りを基に分析した。
結論として、「伝統主義的DV言説」は、DVをトライブ・ネーションの問題とし、DVという一事象を通して、伝統回復、脱植民地化、主権確立を目指すものであること を明らかにした。
コメンテーター:
ブライ グアルネー(東京大学大学院総合文化研究科文化人類学研究生)
寺崎陽子(一橋大学社会学研究科地球社会専攻博士課程)