第14回

【日時】2003年4月20日

資本主義生産体制の変容に伴う労働過程の編成原理について -コンビニエンス・ストアを事例とした仮設的考察-

居郷至伸 (東京大学大学院教育学研究科比較教育社会学コース博士課程)

【発表要旨】

ポスト・フォーディズムの資本主義生産体制に関する議論は経済学や経済社会学を中心に行われているが、この生産体制を支える労働のありようについては、十分な検討が行われているとは言い難い。そこで本発表では、既存の研究が内包している視座の偏りの指摘と、これまで分析対象として取り上げてこなかった労働領域の事例分析を通じて新たな知見を提起することに力点を置いた。まず、コンビニエンス・ストアを具体的事象として扱い、店舗の経営者から得られたインタビューデータに基づき、彼らが従業員に対しいかなる知識をどのように伝達しているのかといった点を中心に管理・育成上の特徴を把握した。さらに、店舗内部の労働過程に作用しているメカニズムの解明へとつなげ、店舗内部の人員間の相互作用には潜在的な対立や葛藤が孕まれているにも関わらず、なぜ店舗運営は機能し、そしてコンビニエンス・ストアシステムに組み込まれていくことになるのか、仮説的考察を提示すると共に、問題性の指摘を行った。することを目指す。

コメンテーター:

市野沢潤平(東京大学大学院文化人類学研究室博士課程)

森田敦郎(東京大学大学院文化人類学研究室博士課程)