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第71回

【日時】2010年7月3日

機械の時間―テクノロジーにおける「新しさ」の生成をめぐって―

久保明教(日本学術振興会 特別研究員(東京大学))

【発表要旨】
 本発表では、エンターテインメント・ロボット「アイボ」に関する事例研究をもとに、科学技術をめぐって生み出される時間を単線的な進歩の図式とは異なる かたちで捉えることを試みます。伝統的に人文・社会科学では、文化や社会の内側にある持続的な時間性科学やテクノロジーによってもたらされる進歩的な時 間性を区別し、後者を前者の「外側」から影響を与えるものとするような図式が一定の影響力を持ってきました。こうした図式は、しかし、科学技術社会論など において様々な批判が提示され、あるいは、科学的な進歩のイメージが社会的な影響力を失ってきた現在において、自明性を失いつつあります。それでも、 「iPad」のような技術が登場すると我々は生活が「新しく」なっていくという実感を強くもちます。進歩の図式を廃した上で、それでもテクノロジーをめ ぐって生み出される「新しさ」をいかに捉えることができるのか。この問いを追求するために、本発表では、近代の時間性をめぐるブルーノ・ラトゥールの議論 を検討した上で、彼が提示したネットワークモデルに機械という人工物を接続することでそれを拡張し、アイボという機械が様々に異なる領域を横断しながら動 きまわることでネットワークが組み替えられていく運動を記述し、いかに「新しさ」が生成する(あるいは減退する)のかを考察していきます。