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第12回

【日時】2003年2月16日

資源化する死:現代日本の葬儀産業を事例として


田中大介  (東京大学大学院文化人類学研究室修士課程)


【発表要旨】
発表者の関心は「現代に生きる人々がどのように死を捉えているかという点について、人類学から説明する」という点にある。この関心を深化させるに当たって発表者が選択した調査対象は、現代日本における葬儀の実践と、それに大きな影響を及ぼしている葬儀産業の活動である。これらの対象から死に付帯する様々なデータ及び傾向を紡ぎ出し、人類学からの視座を打ち出すに当たって、ここでは「資源化分析」という枠組みを措定した。この枠組みの内容に言及しつつ、本発表では「わたし(たち)らしい死」という観点が再生産されているという現代的傾向の背景と、「密葬志向」や「生前契約」、そして「散骨(自然葬)」などの新しい葬儀の実践が占める位置について言及していくこととしたい。







コメンテーター:服部洋一(東京大学大学院文化人類学研究室博士課程)

日本におけるエイズの言説と「男性同性愛者」―批判的医療人類学によるアプローチ


新ヶ江章友 (筑波大学大学院人文社会科学研究科博士課程)
 

【発表要旨】
1981年6月にアメリカ合衆国で最初のエイズ患者が報告されてから20年の歳月が過ぎ、HIVの広がりはグローバル化とともに全世界に拡大しつつある。文化人類学によるエイズの研究は、生物医学的なウイルスとしてのHIVではなく、文化・社会的に意味づけされた病としてのエイズに関する研究に従事してきた。この発表ではこれまでのエイズ研究の動向をふまえ、日本ではこれまでほとんど論じられてこなかった領域である、エイズ問題に携わる様々な人々の力関係を、「男性同性愛者」との関わりの中から分析していく。1980年代はじめの日本では、エイズは海外、特にアメリカ合衆国の男性同性愛者の病気であり、日本には男性同性愛者は存在するがその実態を把握するのは困難であるという言説が支配していたが、日本のエイズの言説に見られる「男性同性愛者」は、1995年に行われた厚生省HIV疫学研究班の調査のあたりから変容していく。本論では、日本における男性同性間の性的接触によるHIVの新規感染者が拡大傾向にある現在、日本のエイズ問題をめぐって、様々な行為者たちとどのような関係を模索できるのかの視点を提供する。


コメンテーター:佐藤知久(京都大学大学院博士課程)